2014年01月20日

RNAiのリスク評価?


私、全く疎いのですが、気になる記事がありました。

RNAi White Paper Published in Advance of January 28 Scientific Advisory Panel Meeting
http://www.epa.gov/oppfead1/cb/csb_page/updates/2014/rnai-whitepaper.html

米国環境保護庁が
RNAi Technology as a Pesticide: Problem Formulation for Human Health and Ecological Risk Assessment
「農薬としてのRNA干渉:ヒト健康と生態リスク評価の問題設定」
なる白書を公表したというものです。

RNA干渉を応用した農薬(非GM利用)の開発が進みつつあるようです。

なるほど、少し検索しただけでも日本でもいろいろ研究があるようです。
↓これとか、
RNA を用いた非GM 型新奇害虫防除法
http://www.jst.go.jp/a-step/seeds/list-e/pdf/h23/AS231Z00228E.pdf

↓これとか。
農薬や抗生物質を用いない安全な養蜂生産物の生産と環境保全型養蜂様式の確立に関する研究
http://www.nakashima-foundation.org/kieikai/pdf/21/05.pdf


まあ当然、新規の技術には新規のリスクがあるわけで、、、
日本でだれかリスク評価の部分までカバーしている人いますかね???

きちんと読んだわけでは無いですが、EPAの白書では、
基本的には従来の微生物農薬のリスク評価のフレームワークが応用可能、
といったことが書かれているようですが。
posted by shimana7 at 23:59| リスク | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2014年01月09日

謹賀新年


遅ればせながら、あけましておめでとうございます。
新年早々ですが、私は今ベルギーに来ています。
ゲント大学の研究者との打ち合わせのためです。
ゲント市はベルギーの首都ブリュッセルから
電車で30分くらいのところに位置しています。
打ち合わせは無事終了して明日帰国に向かいます。

ベルギーは今回初めてですが、なかなか新鮮です。
The ヨーロッパ!的な風景が多いのですが(写真参照)、
なかなか洗練されている雰囲気もあります。
食事もおいしいです(ただし量が。。。)
オランダ語を公用語とする地域なので、
住むにはオランダ語の勉強も必要と感じました。

仕事では、主に水生生物に対する化学物質の複合影響のことを議論しましたが、
みっちりとディスカッションができて、
充実した滞在となりました。
私が今やっている農薬の生態影響に関する研究も、
高く評価して頂いたので励みになりました。
ただ宿題もたくさん出てきたのでこれから大変です。。。

P1080077.JPG


posted by shimana7 at 04:42| 研究 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2013年11月07日

リスク研究学会2013


日本リスク研究学会第26回年次大会が、
11月16-17日に、中央大学後楽園キャンパスで開催されます。

私の個人的興味により取り組んでいる、
「基準値の根拠を探る」シリーズの企画を行います。
内容は以下のとおりです。


企画セッション「知ってるようで知らない!?〜基準値の根拠を探る〜」

オーガナイザー:永井 孝志(農業環境技術研究所)
企画内容:
 様々なリスクは数多くの仮定と前提の下、最終的に基準値や指標値といった単一の数値に換算され、それに基づきリスク管理が行われる。世間では基準値を超えた・超えないの騒動が繰り返し起こるが、その基準値自体の根拠や導出過程についてはあまり関心がもたれていない。基準値の意味や導出根拠を知ることは、そのリスクにどのように向き合えぱよいかの重要なヒントになる。さらに、基準値は「科学的な評価」のみならず様々な社会経済的要素を含んだ形で決定される。そのため、「基準値の根拠を探る」ことは「世の中の意思決定の仕組みを探る」ことと同じ意味を持つ。本セッションでは、具体的な基準値の根拠を探ることの「事例研究としての面白さ」に焦点を当て、知ってるようで意外と知らない基準値の根拠を発表していただく。


食品安全に関わるリスクの受容レベルと食文化の関係
○永井孝志(農業環境技術研究所)

原発事故における避難と除染の基準の根拠
○村上道夫(東京大学生産技術研究所)

日米におけるPM2.5大気環境基準の根拠
○林 岳彦(国立環境研究所)

食品の賞味期限はどのように決まる?
○小野恭子(産業技術総合研究所)

posted by shimana7 at 22:20| 研究 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2013年11月05日

インベントリー


農業環境技術研究所が発行している雑誌「インベントリー」に、
解説記事を書きました:
永井孝志 (2013) 農薬生態毒性データベースの構築とその活用
インベントリー, 11, 58-69
http://www.niaes.affrc.go.jp/inventory/annual/#no11


インベントリーとはそのままだと「目録」という意味ですが、
様々なデータベースなどの情報基盤を扱う分野です。

最近「情報基盤」という視点からの自分の研究の整理を進めているところで、
今年9月の日本環境毒性学会でも、
「情報基盤としての農薬インベントリーとその出口としての生態リスク評価」
というタイトルで発表したところです。

内容はというと、
永井孝志 (2012) 農薬生態毒性データベースの構築とその活用 〜種レベルと群集レベルの評価をつなぐ〜
「化学物質による環境中生物への影響評価−遺伝子から生態系まで−」第12回有機化学物質研究会資料 (独)農業環境技術研究所編 pp27-38
とほぼ同じ内容ですが、こちらは発表要旨という扱いなので、
改めて雑誌の記事として掲載していただきました。


ちなみに宣伝ですが、
来年二月にも農業環境技術研究所が主催で、
「インベントリー研究会」なるイベントを開催します。
テーマは「化学物質のリスク評価と情報基盤」となっており、
私も講演しますし、ほかにも面白そうな講演が控えています。

posted by shimana7 at 23:06| 研究 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2013年10月16日

解決志向リスク評価の日本語論文


「リスク評価とリスク管理の位置づけを再構成する解決志向リスク評価」
と題した総説論文が日本リスク研究学会誌に受理されました。

これは、今年の6月に開催された日本リスク研究学会シンポジウム
で講演した内容をまとめたものです。

解決志向リスク評価については、
最近何度か紹介していますが、
(例えば↓)
http://shimana7.seesaa.net/article/301037999.html

Adam M Finkel氏によって提唱された
「Solution-Focused Risk Assessment」を訳したもので、
これを日本語で解説した文章は
おそらくこの論文が初めてと思われます。
(考え方自体は特段目新しいものではありませんが)

結構面白い文章に仕上がったと思います。
次号に掲載される予定ですが、
他のシンポジウム論文とも関連ある内容なので、
合わせて読むとさらに面白いかもしれません。

posted by shimana7 at 22:33| 研究 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2013年09月29日

リスクの受容レベルについての議論


新しい記事が公表されました。

村上道夫、永井孝志 (2013)
微量化学物質の発がんリスクとその受容レベル
日本水環境学会誌, 36(9), 322-326
http://shimana7.web.fc2.com/research/PDF/g3-16.pdf
(PDFを公開しても良いということなので、公開します)

いつもの生態リスクではなく、発がんリスクをテーマにしたものです。
3.11以降をめぐる放射線のリスクの議論においては、
リスクの受容レベルというものを議論せざるを得ない状況になっています。
そもそも(表面上の)ゼロリスクを目指してきたこれまでとの矛盾とも
向き合わなければいけない時期に来ています。

この記事は、
発がん性のようなゼロリスクを認めることができない場合の
考え方についてまとめたものです。


関連して、最近行われたイベントに面白いものがありました:
公開シンポジウム「社会が受け入れられるリスクとは何か」
http://www.scj.go.jp/ja/event/130905.html

これはまさしくリスクの受容レベルについて正面から扱うという
チャレンジングなイベントです。

この中で、中西準子さんが
「しきい値なしモデルとリスク受容の課題」
というテーマで講演されています。
(スライドも公開されています)

非常に関連する内容なので、
ぜひセットでご覧頂けるとうれしいです。



以上の記事とイベントは、
発がん性について扱ったものですが、
じつは非発がん性ものについても同じ扱いが可能です。
というよりも、同じ扱いをしなければいけない時代に来ている、
と言った方が良いかもしれません。

これは、
NOAEL(No Observed Adverse Effect Level)

NOEC(No Observed Effect Conentration)
を無影響量、無影響濃度と(おそらく意図的に)誤訳してきた
ことがそろそろ通用しなくなる、ことを意味しています。
本当はこれらは無影響を意味しませんし、
特定の影響レベルを意味するものですらありません。

NOAELやNOEC以下だから無影響(ゼロリスク)なのだと
これまで説明し続けてきたことで、
リスクの受容レベルについての
(はっきり言って面倒くさい)議論を避けてきた
のが現状と言えるでしょう。

今後は発がんも、非発がんも同様にリスクの受容レベルについての
議論を本格的に行っていく必要が出てくると思います。


posted by shimana7 at 22:40| リスク | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2013年09月16日

日本陸水学会論文賞


先週開催された日本陸水学会大会(@大津)に参加してきました。
生態リスクをやる土台として
河川や湖沼の生態学の基礎的なところも押さえておきたいので、
この学会はアオコ研究をやっていた時から続けています。

そんなこんなでこの学会が発行している英文誌「Limnology」の
編集委員などもやっているところです。
学会誌をめぐる状況は非常に大変なものなのですが。。。

水生生物の毒性や水中の化学物質のモニタリングなど、
生態リスクの各要素もカバーできるので
ぜひLimnology誌に投稿いただけると嬉しい次第です。
(インパクトファクターもついてます)



さて、今回の大会では、
以前Limnology誌に書いた論文が論文賞を受賞しました。

Nagai T, Tomioka N, Kawasaki T, Imai A, Matsushige K (2011)
In situ growth rate of Microcystis spp. and their growth limiting factors: An application of cellular RNA content.
Limnology, 12(3), 235-243
http://dx.doi.org/10.1007/s10201-010-0339-8

論文の内容は以前の記事で紹介しています。
http://shimana7.seesaa.net/article/170392638.html

その手法の生態リスクへの応用は以下の記事で書きました。
http://shimana7.seesaa.net/article/142513348.html


いつかこれを生態リスクでやってやろう、
と意気込んではや数年たってますが、
その計画は大分具現化してきています。

posted by shimana7 at 22:32| 研究 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2013年09月01日

水産分野での生態リスク


今回は文献の紹介です。

眞道幸司 (2013)
水域における化学物質の生態影響リスク推定の現状と水産環境保全に向けた課題
海生研研報,第16号,29−50,2013
http://www.kaiseiken.or.jp/publish/reports/lib/2013_16_03.pdf

良くいろいろ調べてまとめているなあ、と思います。
水産の分野でも生態リスク評価が動き出しているのでしょうか。
海産の試験生物種などは興味深いところです。


種の感受性分布にも若干の記述がありますが、
OECDや米国で「導入が検討されている」、
とか
HC5とPECを比較するリスク評価手法が実用化「されつつある」、
とかいう表現になっているのが気にかかるところです。

米国ではすでに30年近くにわたって運用されていますし、
EUやオーストラリアなどの水質基準は
すでに多くの物質で種の感受性分布から決められています。


とは言いつつも、なかなかこのような日本語の総説はないので、
重要な日本語総説となるのではないかと思います。


posted by shimana7 at 21:37| 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2013年08月29日

9月の学会発表


9月は学会発表が二件あります。


○永井孝志
情報基盤としての農薬インベントリーとその出口としての生態リスク評価
第19回日本環境毒性学会研究発表会 企画シンポジウム「化学物質の生態リスク評価の今後―多様性ある生態系を理解することから始めよう」 東京 2013.9 口頭(招待講演)

生態リスク評価に必要な毒性や曝露に関する各種データベースをまとめて農薬インベントリーと呼んでいるわけですが、農環研で構築している農薬インベントリ―と、その活用方法について紹介します。



○永井孝志、多屋清志、依田育子
蛍光マイクロプレートアッセイを用いた各種除草剤に対する河川付着藻類の感受性差の評価
日本陸水学会第78回大会 大津 2013.9 口頭

こちらはうってかわって、
久しぶりにゴリゴリの実験系の研究発表です。
最近ゴリゴリ毒性試験やってます。

特に、除草剤の作用機作と種間の感受性差の関係が
かなりはっきりとわかってきました。
これは、同時並行でやっている作用機作から種の感受性分布を予測する方法を
サポートする良いデータになりそうです。


posted by shimana7 at 21:53| 研究 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2013年08月28日

NOECとLOECにお別れを言うときが来た?


毒性試験の統計解析に関する論文が
東工大の岩崎氏との共著で公表されました:
岩崎雄一,林岳彦,永井孝志 (2013)
NOECとLOECにお別れを言うときが来た?
環境毒性学会誌, 16(1), 13-19


今年3月の農薬学会でも上記論文の内容と同じようなことを話したところです:
○永井孝志、安納弘親
藻類生長阻害試験の統計解析方法:RExcelで行う非線形回帰分析
日本農薬学会第38回大会(つくば)


結構反響があるようなので、
統計解析の底上げのための何らかのきっかけとなったら良いですね。



ところで、、、

経済産業省
平成25年度「化学物質のリスク評価手法の開発・改良に資する科学的知見の充実に向けた調査」に係る委託先の採択結果について
http://www.meti.go.jp/information/publicoffer/saitaku/s130820001.html
の採択課題の一つに:
国立大学法人横浜国立大学
「無影響濃度(NOEC)で観測される毒性影響の大きさ:生態リスク評価への示唆」
という課題もあります。


この手の話題で海外ではNOECを使わない方向へ大きな動きがある中で、
日本の動きはわずかなところですが、
「NOEC = 影響のない濃度」
という誤解が早くなくなっていくことを期待します。
(意図的に誤解させてるのかもしれませんが)

posted by shimana7 at 22:49| 研究 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする