2014年06月16日

「基準値のからくり」という本を出版します


重要な告知とは本の出版についてです。
いよいよ今週発売となりました。

表紙.png
講談社ブルーバックス
「基準値のからくり〜安全はこうして数字になった〜」
村上道夫、永井孝志、小野恭子、岸本充生 著
税込み994円です。
http://www.amazon.co.jp/dp/4062578689/ref=cm_sw_r_tw_dp_WG1Mtb03D9WW0



安全に関する本としては、類を見ない面白い本になったと思います!

この本は巷に良くある、
〇〇は安全か危険か、ということを論じた本ではありません。

私たちの安全を守る基準値というものは
いったいどんな風に決まっているのか?
その根拠を探ってみると、それは純粋に驚きの連続であって、
知的好奇心をビリビリ刺激する新しい世界が広がっていた!
という本なのです。

例えば、お酒はなぜ20歳からなのか?
大人よりも子供の方がアルコールの害が
出やすいことは科学的に知られています。
でもそれだけでは、
なぜ19歳でも21歳でもなく20歳なのか?
は説明できませんよね?
(実際に国によって、飲酒開始年齢はバラツキがあります)
その根拠を知った時にはきっと驚くはずです。

本の帯には
「複雑怪奇な数値の根拠に、4人の基準値オタクが斬り込む!」
と書いてあるように、
事実は小説より奇なりな世界を味わってください。



本は以下の10章構成です。
それぞれ完結していますので、
興味のあるところから読むことができます。

第1章 消費期限と賞味期限 〜「おいしさ」の基準値の「おかしさ」〜。
第2章 食文化と基準値 〜基準値やめますか?日本人やめますか?〜。
第3章 水道水の基準値 〜断水すべきか? それが問題だ〜。
第4章 放射性物質の基準値 〜「暫定規制値」とは何だったのか〜。
第5章 古典的な決め方の基準値 〜「リスクとは無関係」な基準値がある〜。
第6章 大気汚染の基準値 〜「PM2・5」をめぐる舞台裏〜。
第7章 原発事故「避難と除染」の基準値 〜「安全側」でさえあればいいのか?〜。
第8章 生態系保全の基準値 〜人間の都合で決まる「何を守るか」〜。
第9章 危険物からの距離の基準値 〜「電車内の携帯電話」から水素スタンドまで〜。
第10章 交通安全の基準値 〜「年間4000人」は受け入れられるリスクか〜。



基準値の根拠についての本ですが、
やはり取りあげる基準値は安全に係わるものなので、
安全とは何か?
という深いテーマにも踏み込んでいます。
この本では、従来から日本で流されている
「安全は科学的・客観的に決まるものだが、安心は心理的なもの」
という安全安心二分法に異議を唱えます。


安全とは「受け入れられないリスクの無い状態」
という国際標準の定義を採用しています。
あるリスクが受け入れられるかどうかは、
リスクの大きさだけでは無く、
社会的、倫理的、心理的な要素をふんだんに含んでいます。
この「受け入れられるリスクの大きさ」と
基準値の関係も考察しています。


と、ここまで書くとかなりお腹いっぱい感が出てきます。
一般向けの本なので、
上記の点はそこまで深く論じているわけではありません。
本として面白いのは、コラムをたくさん入れた点です。
3秒ルールはなぜ3秒?というような脱力系のコラムもあり、
読み物として楽しいものになっているはずです。
そして、知ったら誰かに話したくなる、
そんな話題がいっぱいです。


そして、読み物として面白い本としながらも、
基本的な環境リスク学の知識
(NOAELや不確実性係数、ADI、曝露マージン、線形閾値無しモデル、ALARAの原則など)も詰め込まれていますので、
リスク学の入門書としてもお薦めです。
リスクの科学って面白い!と思って貰えたら嬉しいです。

posted by shimana7 at 05:53| リスク | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2014年06月08日

EUオープンドア

もうすぐ重要な告知を行う予定ですが、
とりあえず軽いネタをいきます。

5月9日はヨーロッパデーということで、
これを記念して5月にはEU各施設の一般公開があります。

EUといえば、昨年ネオニコチノイド系殺虫剤の
期限付き使用禁止を決めるなど、
化学物質管理政策においても重要な役割を果たしていますので、
その動向は我々も常にチェックする必要があるわけです。

ただ「EUの中身」はとても複雑で
外から見ていてよくわからない、
ということでとりあえず見学してみたいと思っていました。

もともとヨーロッパデーといわれる5月9日は、
欧州石炭鉄鋼共同体創設の基礎となる
当時のフランス外相シューマンによる
「シューマン宣言」が1950年に行われた日であるようです。
この欧州石炭鉄鋼共同体が後に欧州連合EUにつながるわけですね。

そして5月17日にはブリュッセルのEU各施設の一般公開がありました。
EU各施設に行くにはブリュッセルの地下鉄で
その名も「シューマン駅」で降ります。

降りるともうすでに(便乗的な)お祭り騒ぎです。

P1000841.JPG

広い公園にはシューマンの像があります。

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でもって公園の奥にあるのは凱旋門です。
すごいスケール!(の割に日本では全く無名。。。)

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とりあえず欧州委員会からということで、
有名なベルレモンビルに入ります。
壮観ですねえ。

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ここはわりと子供向け展示が多くて、
子連れで行っても楽しめるかと思います。
写真は土壌の生物多様性についての展示です。
我々が毎年やっている研究所の一般公開みたいですね。

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次に欧州理事会と閣僚理事会のビルです。
奥に建設中なのは新しい会議室ビルです。
現在のビルでは会議室が足りなくて困っているのだそうです。

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ここは最初あまり期待せずに向かったのですが、
少人数のガイドツアーでじっくり中を見学できたので
非常に満足でした。
ガイドをしてくれたのは、
普段会議の翻訳業務をしているルーマニア人の方でした。
24カ国語が「公用語」となっているEUでは翻訳・通訳業のメッカになっています。

理事会の会議室では各国代表のイスに座って
代表になった気分で写真を撮ったりできます。
EU大統領の席に座っちゃったりもできます。
各席の後ろには同時通訳ブースがあるのが見えますね。

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さて、最後に目玉の欧州議会です。
ひときわ目立つビルで豪華さが違います。

P1000859.JPG

24カ国語で「欧州議会」と書いてあります。

P1000861.JPG

外ではなんだかよくわからないお祭り騒ぎもあって、
賑やかな雰囲気です。

P1000863.JPG

プラネタリウムか!?という雰囲気の議場

P1000866.JPG

ここではクイズラリーなどもあって、
答えると景品が貰えるようでしたが、
時間が無いので断念。
EUについて遊びながら学べるようなクイズラリーになっています。

まじめに見ていくと1日では足りません。
駆け足で一通り見ていきましたが、
それでもかなり足が棒になりました。

ブリュッセル近郊にいるなら是非一度は見てみたいものですね。


ある程度予備知識を付けてからいくともっと楽しいと思います:
日経文庫 EUの知識 (藤井良広著)
http://www.amazon.co.jp/EU%E3%81%AE%E7%9F%A5%E8%AD%98-EU%E3%81%AE%E3%81%A1%E3%81%97%E3%81%8D-%E8%97%A4%E4%BA%95-%E8%89%AF%E5%BA%83/dp/4532112907/ref=dp_ob_title_bk
posted by shimana7 at 08:08| 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2014年05月29日

河川水中EDTA

厚生労働省から公開されている資料
「平成21年度未規制物質等の水道における存在実態調査委託報告書」
http://www.mhlw.go.jp/topics/bukyoku/kenkou/suido/houkoku/suidou/101201-1.html

に、水道原水中のEDTAの分析値が掲載されているのに気がつきました。
いろいろな未規制物質の濃度を分析している内容ですが、
EDTAについては水道水を取水している主要河川23地点で分析され、
その内16地点で検出(定量下限0.5μg/L)、
検出濃度は0.9-42μg/Lという結果でした。

水道原水ということで、
ある程度きれいな水の分布を表しているものと思われます。
つまり、実際の河川水中分布はもっと高いことが予想されます。

藻類の毒性試験でつかうOECD培地のEDTA濃度は
100μg/L(Na2EDTA・2H2Oとして)ですから、
それに匹敵する濃度の地点は結構あるのではないでしょうか?

EDTAは金属と強力に結合する物質であり、
金属の毒性試験にはEDTAは使わない方がよいとされているところですが、
(金属の毒性が緩和されてしまうため)
ひょっとするとある程度入っていた方が
むしろ実態を反映しているのかもしれません。

それからBLMなどの金属の生物利用性を考慮するモデルにおいても
現時点で河川水中におけるEDTAの存在は考慮されていません。

私が以前書いた論文:
永井孝志, 恒見清孝, 川本朱美 (2007)
河川水中における重金属類のスペシエーション:Diffusive Gradients in Thin-films法による分析と化学平衡モデルによる推定
陸水学雑誌, 68(3), 391-401
においても、
DGTで測定した生物利用可能(と想定される)濃度は、
河川水中のEDTAの存在を考慮することで
うまく説明できることを示しています。

そろそろ本気でEDTAの存在を組み込んだBLMの開発
をするべき時かなあと思っています。
あとEDTAの濃度分布のモニタリングデータも必要ですね。



最後にどうでも良いですが、愛の湖公園(ブルージュ)P1000643.JPG
posted by shimana7 at 04:59| 研究 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2014年05月02日

ベルギーから

ご無沙汰しております。

4月から職場の海外長期派遣制度により、
ベルギーのゲント大学に滞在中です。
こちらでは、水生生物に対する化学物質の複合影響評価
の研究に取り組んでいます。

所属ラボのWEBサイト:
http://www.milieutox.ugent.be/

4月は生活の準備、新たな解析法の勉強、実験の準備
(あと日本から持ち込んだ仕事)
などで慌ただしく過ぎ去っていきました。
そろそろ腰を据えて研究したいです。

こちらの生活なども書いてみたいところですが、
いまのところ全く余裕無しです。
とりあえずチョコレートとビールとワッフルの摂取量が増加中です。

最後に全く関係ありませんが、
写真はお気に入りの近所の散歩コースです。
140501.JPG
posted by shimana7 at 05:18| 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2014年03月18日

RExcelのライセンス


先月公開した藻類の毒性試験マニュアル:
http://www.niaes.affrc.go.jp/techdoc/algae/
では、RExcelを使った統計解析について解説してあります。

マニュアルを読んだ方からご指摘頂いたのですが、
以前はRExcelの無償利用に制限が無かったのが、
いつの間にか商用利用は有償に変わっていたようです。
http://www.statconn.com/products.html
(5万円くらいかかる)
まあSPSSとかに比べたらこれでもかなり安いのですが。
とりあえず注意書きを加えておきました。


「ExcelでR自由自在」の本
http://www.amazon.co.jp/Excel%E3%81%A7R%E8%87%AA%E7%94%B1%E8%87%AA%E5%9C%A8-R-M-%E3%83%8F%E3%82%A4%E3%83%90%E3%83%BC%E3%82%AC%E3%83%BC/dp/4621061550
では、無償利用に制限は無いと書かれているので、
それをそのまま信じていたところですが、
ポリシーが変わってしまったようです。


これでだいぶ使いにくくなってしまいましたね。
タダで使える他のやり方を考えようと思いますが、
マニュアルの更新はすぐにはできなさそうなので
かなり後になりそうです。

オープンソースで揃えるなら「RStudio」か「ROOo」
がよいかなあと思っているところです。
(どちらも試してませんけど。。。)

posted by shimana7 at 22:45| 研究 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2014年02月26日

藻類マニュアルの公開


今年度あと少しで終了する環境研究総合推進費の課題での成果として、
「河川付着藻類を用いた農薬の毒性試験マニュアル」
が公開されました。
http://www.niaes.affrc.go.jp/techdoc/algae/index.html

これまで、農薬による環境リスクの大きさを評価するために、
種の感受性分布(SSD)を用いて、多種類の毒性データを解析してきました。

除草剤の場合は植物に毒性が特異的に高いので、
藻類など一次生産者の毒性データを揃える必要があります。
そこで、SSD解析のための標準データセットを用意することにしました。
河川付着藻類群集を代表させる試験生物種として、
日本の河川生態系に幅広く分布し、
実際の種構成を反映するように付着藻類5種を選定しました。



また、従来の試験法はプランクトン性の藻類に適合したもので、
付着藻類への適用が困難でした。
そこで、新たに付着藻類向けの効率的な試験法を開発することにしました。
もちろん付着藻類だけでは無く現在標準的に用いられている
緑藻Pseudokirchneriella subcapitataにも
効率的な試験法として使えます。

この新たな試験法の詳細について、
わかりやすいマニュアルを作成して公開しました。
希望者には印刷物も配布しています。
貰って嬉しいものにすべく見栄えにも多少気を遣いました。



特徴としては、単なる試験マニュアルに留まらないことです。

濃度反応関係の統計解析のためのソフトとしてRExcelを活用し、
そのための計算ファイルをダウンロードして活用できるようにしました。
当然従来の試験結果の解析にも使って頂けます。

さらに、5種の藻類の毒性試験結果から、
SSDを解析するためのExcelファイルもダウンロードできます。

ついでなので色々なデータも付録に載せてみました。

このような論文以外の目に見える成果も
今後は出していきたいですね。

posted by shimana7 at 22:26| 研究 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2014年02月23日

実験画像の管理


論文に使う実験画像についての話題が最近結構出ていますが、
ほとんどが
・若手への倫理教育(なぜ若手だけ?)
・画像捏造のテクニックとその見分け方
みたいな話に終始していて、
そもそも実験画像をどのように管理するか?
という議論がほとんど出てこないことには違和感を持ちます。


先月某民間のラボを訪問した時のことですが、
実験結果としてのデジタル画像の扱いに関する話がでました。

大学や公的研究機関では、実験画像をどう管理するか?
みたいな話はあまり聞きませんが、
特にGLP試験では厳密な管理が求められます。

基本的にデジタル画像は改変可能であるので、
フィルムを使うことが原則である、というのです。



個人のサイトですが、
http://www.it-asso.com/gxp/notice.htm
GLP試験における、デジタルカメラの取扱いに関する記載があります。
以下引用
-----
GLP試験におけるデジタルカメラの使用は、2001年の第7回GLP研修会における Q&Aに見られるように、議論がありました。 その後、2007年の第13回GLP研修会において、 近年の技術革新を反映した見解が示されました。 以下に、両GLP研修会における当局の見解を紹介します。

第7回GLP研修会
デジタルカメラで撮影した画像データは、パソコンでの編集が可能であり、 しかも加工したかどうかを判別することが困難である。 ゆえに、生データと定義するのは現在のところ難しいと考える。 そのようなデータを最終報告書に使用することは避けるべきであり、 生データである普通のカメラで写したネガ又はポジから起こした写真を 使用していただきたい。

第13回GLP研修会
写真が使用される項目としては、病理関係、眼検査関係及び刺激試験関係と思われる。 多くの施設においては、これらの試験では所見用紙が生データと定義されており、 写真は参考資料の位置づけとされている。 したがって、デジタルカメラによって撮影される画像データも同様に、 参考資料という位置づけになるものと考えられる。 しかしながら、参考資料であっても、施設毎に、 デジタルカメラの使用目的や使用範囲を明確にし、 手順及び記録を充実させた上で、教育を適切に実施する必要がある。 すなわち、適切に教育された職員により、手順に従い実施された一連の操作履歴を残し、 プロセスの妥当性を示すこと等により、デジタルカメラ画像データの信頼性 (特に非改竄性)を保証しておく必要がある。
-----



ただし、時代的に考えて、
今後永遠にフィルムを使うというのはさすがに無理があるとも思えます。



独立行政法人 医薬品医療機器総合機構
GLP適合性調査について
http://www.pmda.go.jp/operations/shonin/outline/shinrai/file/h25glp/glp06.pdf
に「デジタル画像を「生データ」として利用することについて」という記載があります。

以下引用
-----
デジタル画像を生データとする際の注意事項

・撮影画像の改ざん防止策がとられていること。

・法令で定められている期間、以下の対応がとられていること。@読み取り機器が動くこと。A保存媒体を読み取ることができること。Bデータを読み取れるソフトウエアが残っていること。

・当該データの撮影者、ファイル識別、撮影日時等、GLPが求めている生データとして要求される情報を何らかの方法で記録すること。

・バックアップを作成する場合は、その定義をSOPで明確にすること。

・コントラスト、拡大/縮小等のデータ加工を行う場合、その加工手順がSOPなどで明確化され、記録されていること。ただし、元の画像データは生データとして残すこと。
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つまり、適切な管理体制が取れない場合には
デジタル画像を使用せずにやはりフィルムを使うべきということになります。

と、ここで、「生データ」という表現がいくつか出てくるのに気付きます。
GLPなどに関わりのない研究者は
「生データ」とはなにか?
についてあまり深く考えたことがないかもしれません。
GLPではこの辺は結構面倒なんですね。



株式会社イーコンプライアンス
http://ecompliance.co.jp/merumaga/eCompliance_Tsushin_39.pdf
「電子生データの留意点」という項目があります。

以下引用
-----
“ 生データ” とは、実験室内のワークシート記録書、覚え書き、注意書き、またはその正確なコピーをいい、これは非臨床試験の原観察結果およびその業務についての成績であり、この試験の報告の再構成および評価のために必要である。生データの正確な転写( 例えば、そのまま転写され、日付をつけ、署名によって正確であると確認されたテープ) が用意された場合には、その正確なコピーまたは正確な転写を生データとしてもとの資料と置き換えることができる。生データは写真、マイクロフィルムまたはマイクロフィッシュ、コンピュータ記録、観集結果を口述した磁気記録および自動装置から記録されたデータでもさしつかえない。
----



画像の生データの適切な管理体制とはいったいどうすればよいのでしょうか?
先のラボ訪問の時に聞いた話では、
カメラがつながっているパソコンで実験画像を取り込んだ際に、
強制的にその画像が一元管理されたサーバに転送される仕組みになっており、
そのサーバで画像の生データは保存され、
実験者はその生データにはアクセスすることができない、
という仕組みがあるそうです。

これなら確かに実験者が画像を改変・捏造しても
生データは確実に残ってチェックが容易です。



研究結果として画像を出す場合には、
「見やすさの改善」のために、
いろいろ画像を処理・改変することは当然のようにあると思います。
論文などであればwebのみに掲載されるAppendixなどに
厳密に定義された「生データ」も掲載するとか、
いろいろな管理方法があるかもしれません。

GLPの精神とはプロセスチェック
(適切なプロセスで得られた試験結果は適切である)
であって、
ファイナルチェック(最終製品の検査)に依存しないという考え方です。
出版された論文の画像のチェック(捏造がないかどうか)
だけに頼るというのは、
全頭検査・全品検査一直線のロジックですね。


posted by shimana7 at 00:02| 研究 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2014年02月10日

講演情報:農業環境インベントリー研究会


私にとっては今年度のラストイベントになるかと思いますが。。。

2014年2月27日
第4回 農業環境インベントリー研究会
農薬等化学物質のリスク評価を効率的に行うためのインベントリーの構築
http://www.niaes.affrc.go.jp/sinfo/sympo/h25/20140227.html?0121

私の講演は一番最後で、
「農薬インベントリーを構成する様々なデータベースの構築と生態リスク評価への活用」
というタイトルで、農薬環境科学とデータサイエンスについて真面目に語ります。

データを整備して活用可能なツールを作ったりするところに
最近非常に興味を持っており、
当面のビジョンがだいぶ見えてきたところなので、
そこを明確に示したいところです。



なんとなんと同じ日の同時間帯、同じつくばにて
あの中西準子さんの講演が重なるという事態になっています。

産総研 中西 準子 フェローの瑞宝重光章 受章記念講演会
日時: 2014年2月27日 17:10〜18:10
場所: 産業技術総合研究所 つくばセンター中央 共用講堂
http://www.aist-riss.jp/main/modules/event/content0114.html

私の講演が終わるのが17:00位、
エポカルから産総研まで車で10分くらいなので、
そのあとで駆け込んでもなんとかなりますよ?!
posted by shimana7 at 22:48| 研究 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2014年01月20日

RNAiのリスク評価?


私、全く疎いのですが、気になる記事がありました。

RNAi White Paper Published in Advance of January 28 Scientific Advisory Panel Meeting
http://www.epa.gov/oppfead1/cb/csb_page/updates/2014/rnai-whitepaper.html

米国環境保護庁が
RNAi Technology as a Pesticide: Problem Formulation for Human Health and Ecological Risk Assessment
「農薬としてのRNA干渉:ヒト健康と生態リスク評価の問題設定」
なる白書を公表したというものです。

RNA干渉を応用した農薬(非GM利用)の開発が進みつつあるようです。

なるほど、少し検索しただけでも日本でもいろいろ研究があるようです。
↓これとか、
RNA を用いた非GM 型新奇害虫防除法
http://www.jst.go.jp/a-step/seeds/list-e/pdf/h23/AS231Z00228E.pdf

↓これとか。
農薬や抗生物質を用いない安全な養蜂生産物の生産と環境保全型養蜂様式の確立に関する研究
http://www.nakashima-foundation.org/kieikai/pdf/21/05.pdf


まあ当然、新規の技術には新規のリスクがあるわけで、、、
日本でだれかリスク評価の部分までカバーしている人いますかね???

きちんと読んだわけでは無いですが、EPAの白書では、
基本的には従来の微生物農薬のリスク評価のフレームワークが応用可能、
といったことが書かれているようですが。
posted by shimana7 at 23:59| リスク | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2014年01月09日

謹賀新年


遅ればせながら、あけましておめでとうございます。
新年早々ですが、私は今ベルギーに来ています。
ゲント大学の研究者との打ち合わせのためです。
ゲント市はベルギーの首都ブリュッセルから
電車で30分くらいのところに位置しています。
打ち合わせは無事終了して明日帰国に向かいます。

ベルギーは今回初めてですが、なかなか新鮮です。
The ヨーロッパ!的な風景が多いのですが(写真参照)、
なかなか洗練されている雰囲気もあります。
食事もおいしいです(ただし量が。。。)
オランダ語を公用語とする地域なので、
住むにはオランダ語の勉強も必要と感じました。

仕事では、主に水生生物に対する化学物質の複合影響のことを議論しましたが、
みっちりとディスカッションができて、
充実した滞在となりました。
私が今やっている農薬の生態影響に関する研究も、
高く評価して頂いたので励みになりました。
ただ宿題もたくさん出てきたのでこれから大変です。。。

P1080077.JPG


posted by shimana7 at 04:42| 研究 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする