2010年08月31日

ミツバチへのリスク4


なんだかミツバチウォッチャーになっていますが、
本業とはあまり関係ありません。

ミツバチ大量失踪 神戸大と県立大が原因究明へ 
http://www.kobe-np.co.jp/news/shakai/0003367718.shtml
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 大量のミツバチが巣から姿を消す「蜂群崩壊症候群」について、兵庫県立大学と神戸大学
の研究チームは、稲などの害虫駆除に使う「ネオニコチノイド系農薬」が原因の可能性が高
いとみて、30日から検証実験を始める。近年世界的な問題となっているミツバチの大量死
や失踪は農薬や巣箱に寄生するダニ、環境の変化などが重なって起こるとされているが、詳
しい原因は分かっていない。実験結果によっては原因が特定され、謎が解き明かされること
になる。
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ということで、
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 実験では、ミツバチに同農薬を塗り、透明な観察巣箱の中で、行動の変化を2日間かけて
1匹ずつ観察する。分析などを進め、2年以内の検証結果をまとめる予定。
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当然このような実験を行えば
何らかの影響は出るでしょうから、
これでは
「農薬はケシカラン」
という結論しか出ないでしょうね。

いくらこういうことを言っても、
ミツバチへのリスクを下げる方向に進みません。
社会的には誰も得をしないといいますか。



あとは面白いブログの紹介です。
養蜂の魅力はよくわかりませんが、
ディープな世界がありますね。

花を増やそう!みつばち百花
みつばちに恩返し大作戦!蜜源・花粉源植物を植えよう!
http://bee-happy.seesaa.net/
これはよいブログ。
今後読んでいこうと思います。



趣味の養蜂(西洋蜜蜂・日本蜜蜂飼育)昆虫、花の世界
http://bee8-pet.blog.so-net.ne.jp/index/2
これも面白いです。
趣味でやっている人も結構多いのですかね?
posted by shimana7 at 21:26| リスク | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2010年08月30日

ミツバチへのリスク3


フランスにおけるネオニコ規制の状況
フランス食品衛生安全機関 ネオニコチノイド系殺虫剤:Cruiserの販売を容認 但しミツ
バチの暴露は最小限に
http://www.juno.dti.ne.jp/~tkitaba/earth/chemical/09121801.htm



このフランスでの大規模調査が論文になっています:
Chauzat et al. (2009) Influence of Pesticide Residues on Honey Bee (Hymenoptera:
Apidae) Environ. Entomol. 38(3): 514ー523 (2009)

フランスで2002年から2005年の3年間
24の養蜂場の120のミツバチコロニーで、
ミツバチや花粉中の農薬濃度と
ミツバチの死亡率や個体数などとの関連を調べたものです。

結論としては、
ミツバチからは各種の農薬が検出されるが、
死亡率や個体数との有意な相関は得られなかった、
というもの。
統計解析はlinear mixed modelを使用しており
細かいところは追えていません。
散布図がないのが残念なところ。
直感的な理解は大事だと思うのですが。



フランスではネオニコチノイド系殺虫剤が
禁止に追い込まれるほど
養蜂家のロビー活動が大変強かったようですが、
禁止になった後にミツバチが回復したという
話は出てこないですね。


posted by shimana7 at 22:04| リスク | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2010年08月24日

ミツバチへのリスク2


林さんのブログ記事を受けて
矢原さんによるミツバチ記事の続きが掲載されています。

Y日記
http://d.hatena.ne.jp/yahara/20100821/1282528235
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なお、以下の記事によれば、WAXが農薬に汚染された古い巣箱を使ってミツバチを飼うと死
亡率が有意に高まることがUSDAの研究者によって確認されたようです(論文は未発表)。
http://www.naturalnews.com/028429_colony_collapse_disorder_chemicals.html
Honeybee Colony Collapse Disorder Finally Explained: Too Many Chemicals
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と追記がありました。

USDAではなく、ワシントン州立大学の研究者と書いてますね。
ここで言及されているのは
やはりフルバリネートなどの養蜂で使う
ダニ防除用の殺虫剤です。

西洋ミツバチは寄生ダニやそれが媒介する病原菌に大変弱いので
防除する必要があります。
そのための薬剤にある程度のリスクがあるのは
当然のことです。
医薬品も副作用があるけど使用した方が健康にとって良ければ
副作用のリスクを受容することになります。
ダニ防除を止めればダニの影響の方が大きくなります。
薬剤の影響の方が大きければ誰もそのような薬剤は使いません。
これがリスク−ベネフィット論です。

「リスクがゼロでないからミツバチ消滅の原因は農薬である」
というのは
「全ての医薬品には副作用があるから
このまま医薬品を使い続けると人類は絶滅する」
といっているのと同じですね。

posted by shimana7 at 20:09| リスク | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2010年08月23日

ミツバチへのリスク

ミツバチと農薬についての論文:
Mullin CA, Frazier M, Frazier JL, Ashcraft S, Simonds R, et al. (2010) High Levels
of Miticides and Agrochemicals in North American Apiaries: Implications for Honey
Bee Health. PLoS ONE 5(3): e9754.

についてのブログ。
いろいろと疑問があります。

アジア保全生態学ブログ
ミツバチの大量失踪の原因
http://d.hatena.ne.jp/gcoe-kyushu-u/20100821
農薬だけでもミツバチの大量失踪が説明できる、
という記載があります。


単純にリスク評価をしようと思うなら、せめて
ミツバチ中濃度(の95%tile値)/LD50の値
(ハザード比)
でも計算してくれればよいのに。
フルバリネートを除いて最大でも0.01程度です。
のきなみ低くなりすぎて(リスクが低すぎて)
研究の重要性を主張できないからですかね?
花粉中濃度とLD50の比較は何の意味もありませんね。
ちなみにフルバリネートは養蜂のダニ防除に使う殺虫剤
ですから、ある程度リスクがあるのはあたりまえです。

話題のネオニコチノイド系殺虫剤では
イミダクロプリド
チアクロプリド
アセタミプリド
の三種類が調査されていますが、
花粉からは検出されるものの、
ミツバチからはどれも検出されませんでした。

もうひと加えておくとすると、
LD50は接触毒性試験でもって評価されるもので
これは農薬をミツバチに塗布して致死率を見る試験です。
(濃度は塗布した農薬量/ミツバチの体重になります)
農薬が含まれる花に曝露させて体内中濃度と
致死率を見る試験ではありません。
毒性の解釈にはこの辺も重要なところです。

つまり、上記のハザード比による評価は
農薬の直接散布による接触の影響を見るのにはよいが
花の蜜を媒介する影響を評価するには
注意が必要です。


さらにこの疑問たるゆえんは林岳彦さんのブログに大変詳しく書かれています。

Take a Risk: 林岳彦の研究メモ
■[論文][リスク]ミツバチの大量失踪の原因の記事への補足
http://d.hatena.ne.jp/takehiko-i-hayashi/20100823/1282519154

ここで紹介されているWikipediaの記述は
初めて知りましたが、
すばらしい解説ですね。
上記のハザード比が高くても
コロニーの消失と直接関係するとは限らない、
という、個体レベルと個体群レベルの
リスク評価の違いを示しているようです。



Y日記
■[保全]ミツバチの大量失踪の原因
http://d.hatena.ne.jp/yahara/20100821/1282382462
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デイビッド・ブラッドショーは養蜂家として何度もハチにさされてきたが、先月巣箱をあけ
たとき、経験したことのない衝撃を受けた。10億匹のハチの半数が消えうせていたのだ。
『こんなことは初めてだ』−開花をはじめたアーモンド園を前に、ブラッドショー氏はこう
語った。『この箱も、この箱も、この箱も、みんな空だ。』

「生物多様性に関して執筆中の本」では、こういう臨場感のあるドキュメントをできるだけ
書き込みたいと考えている。
-----

生物多様性という言葉が
どんどん怪しい言葉になりませんように。。。

そもそも家畜は生物多様性の中に入るのでしょうかね?
口蹄疫も生物多様性を脅かすハザード?

今までこのミツバチと農薬の問題は
まともな人ほど無視している状況だったのですが、
大御所生態学者の参入とあっては
影響が大きそうです。
posted by shimana7 at 20:48| リスク | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2010年07月03日

ジオエンジニンアリング・勉強会


勉強会にて、ジオエンジニアリング(気候工学)
のまとめ話を聞く機会がありました。
なかなか新鮮で面白い話がありました。
この分野における頭の整理も大分できたと思います。

以下はそのときのメモ。まとめきれてはいませんが。
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・ジオエンジニアリングの利用場面。突然の気候変動へ対応するために使われる。即効性のある対策でないと役に立たない。つまり、恒常的な温暖化対策というよりは、急激な気候変動による事故的なリスクへの対応策と考えた方がよさそう。

・ジオエンジニアリングの特徴は即効性があることと、安いということ。たとえば海洋鉄散布などは恒常的な対策とはいえないが緊急のものと考えれば納得できる。

・ジオエンジニアリングは大きく分けて太陽放射管理と二酸化炭素除去に分けられる。太陽放射管理は成層圏エアロゾル(すすなど)注入などの大気アルベドの増加と砂漠に反射シートを引くなどの地表面アルベドの増加がある。二酸化炭素除去は海洋鉄散布や空気中炭素の回収除去などがある。

・空気中炭素の回収は世界のどこでもよく、また効率が悪くても良いので期待できる。

・ジオエンジニアリングの効果を二酸化炭素量に換算し、費用対効果を計算すると、これまで行われている温暖化対策に比べて遙かに安い。成層圏にすすを投入するのが一番安い。ちなみにこれに比べて太陽電池がもっとも費用対効果が悪く、1-10万倍くらい高い。

・日本が一年間に排出するCO2は約10億トン。飛行機で成層圏にすすを投入する方法の費用対効果が0.1ドル/tCO2程度。よって日本が一年に出すCO2を1億ドル(約100億円)程度で相殺できる。100億円といえば、主力級の戦闘機一機分、ピカソの絵一枚、C.ロナウドの移籍金、T.ウッズの慰謝料の数分の一。。。1国どころか、1大富豪、1サッカーチームが慈善事業としてできてしまうほどの金額である。

・ジオエンジニアリングはローテクなのでだれでもできてしまう。飛行機ですすをまいたり海に鉄をまいたりするのに高度な技術は必要ない。気候を変えるのに必要な飛行機の数はわずかに30機。だからアメリカの富豪やそこから寄付を得たNGOなどが本気でやろうと思えばできてしまう。それを規制したりガバナンスしたりする仕組みが存在しない。

・国際的枠組みを作ろうと会議が開かれたが、やはり議論は紛糾。温暖化対策は必要だが、そんなに簡単に気候を変えられるとなると緩和策がおろそかになるという危惧がある。

・温暖化懐疑論者がなぜかジオエンジニアリングを推進。自己矛盾?彼らは技術というものを信じている、または「スケールの大きな技術が地球を救う」的なストーリーが好き。これはなんか納得できる。

・副作用的なリスクはどうか?太陽放射管理は太陽光が減る、雨が減る、などの影響がある。CO2の100ppm分が太陽光の1%に相当。つまり300ppm分のCO2を相殺しても3%減少するだけ。生態系への影響は?農業への影響は?

・解放系に何かを撒く、というのはやはり抵抗感が大きいだろう、リスク評価を行って安全性とセットでやらないと、ナノテクと同じ道をたどるだろう。ただし、事故的リスクへの対策と割り切れば大丈夫かもしれない、とも考えられる。口蹄疫ではヘリコプターで消毒液をばらまき、現地ではこれに由来する喘息もでてるらしいが問題にする人は少なかった。

posted by shimana7 at 22:03| リスク | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2010年04月29日

リスク評価のジレンマ

中西準子さんの雑感
雑感516-2010.4.19「ヒエラルキーについての1枚のスライド」
http://homepage3.nifty.com/junko-nakanishi/zak516_520.html#zakkan516

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リスク評価ができます、リスク評価ができましただけでは意味がない、それが議論になっているときに、リスクを覚悟で発言しなければ意味がないということだった。そこには、必ず、不確かな部分があり、発言は常にリスクを伴うのだが、それに耐える勇気がない人は、リスク評価という分野で大きな成果を挙げることができないだろうということ。
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最近もやもやと考えていたことはまさにこれだったと気づきました。
SSD(種の感受性分布)の評価結果がファクトでないことなど百も承知、
科学的な欠点を挙げればきりがないことも百も承知です。

では、科学的に非の打ち所のない
完璧なリスク評価手法ができるまで
3点セット(藻類、ミジンコ、魚類の毒性試験)+不確実性係数(科学的根拠無し)で
社会が意思決定することを受け入れるつもりですか?
というのが私の問題提起。

SSDは当然まだまだ欠点だらけですが
それでも現状の評価手法に比べれば
科学的な妥当性が遙かに高い
判断材料を提示することができる、
ということは自信を持って言うことができます。

「データがない」
「十分バリデーションされていない」
そういう言葉はさんざん聞いてきましたが、
「現時点ですぐ利用できる(ココが大事!)」代替案を
提示した人はいません。





実のところ、リスクの専門家たちの間でも
上記で提示した問題の存在に気づいていない
ということが
リスク論の矛盾というか
リスク論が抱えるジレンマである、
ということを考えていました。
そこに中西さんの雑感がタイムリーに登場して
一気にすっきりしたわけです。


絶対の安全(=ゼロリスク)が証明されないものは全部禁止
という予防原則な意見に対して
絶対安全の証明など不可能、
リスクの大きさを評価してそれらを比較して判断しよう
というのがリスク論でした。

このリスク論の中で
絶対の科学的バリデーションが存在しない手法は
リスク評価に使用するのは禁止、
というジレンマにリスク研究者たちが陥っているとすれば
ものすごい矛盾になるな、と感じています。
絶対正しいリスク評価など不可能、
従来の評価手法と比較して科学的妥当性がより高いか
どうかで判断しようというのが
私の提言です。
posted by shimana7 at 17:07| リスク | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2010年03月10日

ルールとプリンシプル


バンクーバーオリンピックで
真央ちゃんとキム・ヨナの異常な点差に
驚いた人は多かったと思います。

ずるい!? なぜ欧米人は平気でルールを変えるのか (ディスカヴァー携書) (新書)
青木 高夫 (著)
http://www.amazon.co.jp/gp/product/4887597797/ref=sib_rdr_dp

まだちゃんと読んでませんが、、、

日本人はルールとプリンシプルを混同しているという話。
とても納得です。

ルールに対する考え方が日本人と欧米人は違う、
ということを漠然と考えてきましたが、
「ルールとプリンシプルを混同している」
という説明はとてもすっきりします。

ルールの上位概念にプリンシプルがあって
たとえば
「化学物質が健康を害してはならない」
というプリンシプルのもとに
「この化学物質の基準値は○○」
というルールができるわけです。

基準値を超過しているけど、
リスクを評価したら健康被害はない
となった場合、
ルールは破っているが、プリンシプルは守っている
ということで、
この場合ルールの設定が間違っている
と考えるのが欧米流。
よって、どういうルールに変えれば
よりルールとプリンシプルが矛盾しないか、
ということを考えるわけです。

日本人はルールができた時点で
ルール=プリンシプルになってしまうので
ルールがおかしいと考えることができません。
ルールを守るにはどうしたらよいか、
ということしか考えることができないわけですね。
posted by shimana7 at 21:57| リスク | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2010年03月04日

論文2

PNASオンライン版の論文
http://www.pnas.org/content/early/2010/02/12/0909519107
Atrazine induces complete feminization and chemical castration in male African clawed frogs (Xenopus laevis)

除草剤のアトラジンの曝露で
オスのカエルが卵を産むようになる、という話。

実験ではふ化からカエルになってさらにその後3年間もずっと
2.5 ppbのアトラジンに曝露させ続けたらしい。

実際の野外でこのような曝露を受けることはありえません。
アメリカではアトラジンはかなり大量に使っているので、
水中濃度の最大値は2.5 ppb位にはなるかもしれませんが、
アトラジンは畑で使う農薬なので、
水系に流出するのは大雨で土壌が流出する時くらいですから
年間に数日の曝露しか受けないと考えられます。

毒性の研究者は曝露のことを知らないので
こういう実験をやってしまうのでしょうか?
(たぶん意図的である可能性が高いと思いますが)



農薬の生態リスク評価で重要なのは
この曝露濃度の時間的変動を考慮することにあります。
曝露濃度の変動と生物の生活史段階との関係を
つなげることも重要です。
これは工業用途の化学物質の評価と
最も異なる点ということになるでしょう。

また、アトラジンはその化学的構造から
トリアジン系除草剤とグルーピングされますが、
古い農薬のグループなので選択性が低く、
予期せぬ毒性が起こるとはあまり考えにくいものです。
選択性が低いと言うことは
どの生物に対してもある程度の毒性を持ち、
逆に言えば毒性が未知の生物に対しても
ある程度毒性の予測ができるということになります。
(これが良いとか悪いとかではなくて、
リスク評価者としては比較的評価のしやすい物質である、ということ)

種の感受性分布(SSD)の傾きがとても小さい、
と言い換えることもできます。
実際に私はトリアジン系除草剤である
アトラジン、シマジン、シメトリン、メトリブジン、メタミトロン
のSSDを解析したのですが、
他の除草剤に比べて傾きが非常に小さいグループである、
という結果となっています。

もっと新しい農薬
(選択性も高くて、作用機作もよくわかってない)
の方が予期せぬ影響が出てくる可能性は高そうなのですが。。。
posted by shimana7 at 22:45| リスク | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

論文

Environmental Toxicology and Chemistry, Vol. 29, No. 3, pp. 730-741, 2010
"ADVERSE OUTCOME PATHWAYS: A CONCEPTUAL FRAMEWORK TO SUPPORT ECOTOXICOLOGY RESEARCH AND RISK ASSESSMENT"

2007年にNRCから出された本「Toxicity testing in the 21st century」
の生態版のような論文。

21st...の本と今回の論文の共通点は
「毒性パスウェイ」という言葉がキーワードになっている点。
論文の中でも本と「Similar challenges」と書かれています。

本の方では、これまでのラットやマウスを使った毒性試験から、
毒性パスウェイ毎のヒト細胞を使った試験に変えることで、
動物実験の結果をヒト健康影響に外挿する問題を解消する、
ということが一番のメリットであるように思えました。

人間の体を使って毒性実験をすることはできないですが、
生態毒性の場合は、生物そのものを使ったin vivoの試験ができますので、
いったいどのようなメリットがあるのでしょうか?
欧米では動物愛護の考え方が強いので、
動物を殺さなくて良い、というメリットはあるのでしょうけど。
posted by shimana7 at 22:42| リスク | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2010年02月22日

カドミウム2

これまでカドミウムの農用地土壌汚染に関わる指定面積は
6428ha(平成19年度末まで)にのぼり、
すべてが客土(土を掘って入れ替える)
によって対策が行われました。
この客土にかかるコストは
1haにつき約5千万(地域によって違う)とされています。


コメ中カドミウムの基準値が
1ppmから0.4ppmに引き下げられることによって
指定地域はどれくらい増えるのでしょうか?

http://www.maff.go.jp/j/syouan/nouan/kome/k_cd/kaisetu/gaiyo2/index.html
の資料を見ると、
収穫後調査では、0.4ppmを超えるコメが0.2%であり、
これくらいの地域が追加として指定される可能性があります。

仮に0.2%の地域が追加指定されるとなると、
平成20年度の水稲作付面積が1624000haなので、
その0.2%とすると、3248haとなります。
5千万をかければ、追加費用は1624億円
と計算されます。


対策費用は汚染原因者が1/4、地方が1/4、国が1/2が通常となり、
汚染原因者が不明の場合(たぶんほとんどの場合)、
農地の所有者が代わりに1/4を負担することになります。

農地の場合、客土の土は何でも良いわけではないので、
農業に適した土がだんだん無くなってきて、
コストが跳ね上がる可能性があります。


対応策としては二つ:
1.オンサイトで適用できる
低コストでカドミウムを除去できる
技術を開発する。

2.リスクを詳細に評価しリスク管理をする。

うちの職場の得意分野は1なので、
2について議論されることはほとんどありません。

ただし、1についてもリスク評価が必要です。
新規の技術には新規のリスクが付きまとうからです。

例えば、カドミウムのオンサイト土壌洗浄法では、
洗浄排水を河川に放流することによる
生態リスクの懸念が存在します。
私の研究では
このリスクをWET試験を用いて
評価しようとしているところです。


なので、どちらをとるにせよ、
リスク評価を欠かすことはできないのです。
この辺のことをアピールしたいと思っています。
posted by shimana7 at 08:00| リスク | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする