2013年10月16日

解決志向リスク評価の日本語論文


「リスク評価とリスク管理の位置づけを再構成する解決志向リスク評価」
と題した総説論文が日本リスク研究学会誌に受理されました。

これは、今年の6月に開催された日本リスク研究学会シンポジウム
で講演した内容をまとめたものです。

解決志向リスク評価については、
最近何度か紹介していますが、
(例えば↓)
http://shimana7.seesaa.net/article/301037999.html

Adam M Finkel氏によって提唱された
「Solution-Focused Risk Assessment」を訳したもので、
これを日本語で解説した文章は
おそらくこの論文が初めてと思われます。
(考え方自体は特段目新しいものではありませんが)

結構面白い文章に仕上がったと思います。
次号に掲載される予定ですが、
他のシンポジウム論文とも関連ある内容なので、
合わせて読むとさらに面白いかもしれません。

posted by shimana7 at 22:33| 研究 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2013年09月16日

日本陸水学会論文賞


先週開催された日本陸水学会大会(@大津)に参加してきました。
生態リスクをやる土台として
河川や湖沼の生態学の基礎的なところも押さえておきたいので、
この学会はアオコ研究をやっていた時から続けています。

そんなこんなでこの学会が発行している英文誌「Limnology」の
編集委員などもやっているところです。
学会誌をめぐる状況は非常に大変なものなのですが。。。

水生生物の毒性や水中の化学物質のモニタリングなど、
生態リスクの各要素もカバーできるので
ぜひLimnology誌に投稿いただけると嬉しい次第です。
(インパクトファクターもついてます)



さて、今回の大会では、
以前Limnology誌に書いた論文が論文賞を受賞しました。

Nagai T, Tomioka N, Kawasaki T, Imai A, Matsushige K (2011)
In situ growth rate of Microcystis spp. and their growth limiting factors: An application of cellular RNA content.
Limnology, 12(3), 235-243
http://dx.doi.org/10.1007/s10201-010-0339-8

論文の内容は以前の記事で紹介しています。
http://shimana7.seesaa.net/article/170392638.html

その手法の生態リスクへの応用は以下の記事で書きました。
http://shimana7.seesaa.net/article/142513348.html


いつかこれを生態リスクでやってやろう、
と意気込んではや数年たってますが、
その計画は大分具現化してきています。

posted by shimana7 at 22:32| 研究 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2013年08月29日

9月の学会発表


9月は学会発表が二件あります。


○永井孝志
情報基盤としての農薬インベントリーとその出口としての生態リスク評価
第19回日本環境毒性学会研究発表会 企画シンポジウム「化学物質の生態リスク評価の今後―多様性ある生態系を理解することから始めよう」 東京 2013.9 口頭(招待講演)

生態リスク評価に必要な毒性や曝露に関する各種データベースをまとめて農薬インベントリーと呼んでいるわけですが、農環研で構築している農薬インベントリ―と、その活用方法について紹介します。



○永井孝志、多屋清志、依田育子
蛍光マイクロプレートアッセイを用いた各種除草剤に対する河川付着藻類の感受性差の評価
日本陸水学会第78回大会 大津 2013.9 口頭

こちらはうってかわって、
久しぶりにゴリゴリの実験系の研究発表です。
最近ゴリゴリ毒性試験やってます。

特に、除草剤の作用機作と種間の感受性差の関係が
かなりはっきりとわかってきました。
これは、同時並行でやっている作用機作から種の感受性分布を予測する方法を
サポートする良いデータになりそうです。


posted by shimana7 at 21:53| 研究 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2013年08月28日

NOECとLOECにお別れを言うときが来た?


毒性試験の統計解析に関する論文が
東工大の岩崎氏との共著で公表されました:
岩崎雄一,林岳彦,永井孝志 (2013)
NOECとLOECにお別れを言うときが来た?
環境毒性学会誌, 16(1), 13-19


今年3月の農薬学会でも上記論文の内容と同じようなことを話したところです:
○永井孝志、安納弘親
藻類生長阻害試験の統計解析方法:RExcelで行う非線形回帰分析
日本農薬学会第38回大会(つくば)


結構反響があるようなので、
統計解析の底上げのための何らかのきっかけとなったら良いですね。



ところで、、、

経済産業省
平成25年度「化学物質のリスク評価手法の開発・改良に資する科学的知見の充実に向けた調査」に係る委託先の採択結果について
http://www.meti.go.jp/information/publicoffer/saitaku/s130820001.html
の採択課題の一つに:
国立大学法人横浜国立大学
「無影響濃度(NOEC)で観測される毒性影響の大きさ:生態リスク評価への示唆」
という課題もあります。


この手の話題で海外ではNOECを使わない方向へ大きな動きがある中で、
日本の動きはわずかなところですが、
「NOEC = 影響のない濃度」
という誤解が早くなくなっていくことを期待します。
(意図的に誤解させてるのかもしれませんが)

posted by shimana7 at 22:49| 研究 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2013年08月17日

RExcelのインストール方法が変わった


RExcelをインストールするためのパッケージ
RAndFriendsが利用できなくなってしまいました。
CRANのポリシーの変更に伴うとのこと。

これは大変ショッキングなこと。
RExcelを入門者むけの統計解析ツールとして
どんどん使っていこうとしていた矢先のことです。

ちょうど統計解析の教育用に、
RExcelをつかった統計解析のマニュアルも作っていたところで、
RAndFriendsを使ったインストール方法を記載して、
よっしゃあ!できたー!と
RExcelのサイトを確かめに行ったところ、
あれ、「RAndFriends」がどこにもない!
と気づいたわけです。


結局のところ、RAndFriendsでRやRExcel、
その他必要なソフトやパッケージを
全自動でインストールできたところを、
一つずつ手動でインストールしなければならなくなってしまいました。

手順を以下に記載しておきます。

1.Rのダウンロード・インストール
http://cran.md.tsukuba.ac.jp/
インストーラーをダウンロードして実行する

2.RexcelとStatconnDCOMのインストーラーのダウンロード
http://rcom.univie.ac.at/download.html

3.Statconnのインストール

4.Rの立ち上げ

5.rscproxyパッケージのインストール
  パッケージ→パッケージのインストール→Japan(Tsukuba)→rscproxy

6.ついでに、同様にdrcなどの追加パッケージのインストール(RExcelそのものには必要ないですが)

7.RExcelのインストール

インストールは全てデフォルト設定のままで良いようです。


このように、とっても面倒になってしまいました。

Rを全く立ち上げずにExcel上だけで
すべてのRの計算ができることが売りだったわけですが、
Rを立ち上げないとRExcelがインストールできなくなってしまったので、
このところでもう挫折してしまう人が出てくるだろうと懸念されます。

R上でRExcelをインストールするコマンドを打ち込んでもできますが、
この時点でもう初心者には壁が高すぎます。

CRANのポリシーによるということで、RAndFriendsの復活はほぼ期待できず、
困ったものだなあ。。。と思っています。

posted by shimana7 at 21:55| 研究 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2013年05月25日

除草剤の藻類影響と藻類エネルギー


先の記事で紹介した藻類のハイスループット試験の論文ですが、
電子版ではすでに公開されています。
Nagai Takashi, Taya Kiyoshi, Annoh Hirochica, Ishihara Satoru (2013)
Application of a fluorometric microplate algal toxicity assays for riverine periphytic algal species.
Ecotoxicology and Environmental Safety, in press
http://dx.doi.org/10.1016/j.ecoenv.2013.04.020

この方法で各種藻類に対する除草剤の影響を現在調べているところですが、
ふと気になって、最近話題の藻類エネルギーのことを調べてみました。


藻類エネルギーと言えば、
もともと藻類学が強かった我が筑波大が今や聖地のようになっています。
http://www.algae-biomass-tsukuba.jp/watanabe-kaya-lab/index.html
(私が藻類好きなのもこのおかげです)

私が大学時代に住んでいた平砂宿舎1号棟の
すぐ目の前にあった平砂プールが
いまや大規模藻類培養実験施設に変わっているのはとても感慨深いです。
(当時すでにプールとしては使われておらず、
いつも魚を捕って遊んでいた)



オイル産生藻類のボトリオコッカス(緑藻)と
オーランチオキトリウム(ラビリンチュラ類)を用いて、
開放系大規模生産実証試験として、
つくば市内の耕作放棄地を活用した屋外大量培養の研究開発に着手します、
と研究計画にはあります。
http://www.algae-biomass-tsukuba.jp/watanabe-kaya-lab/02project/index.html

開放系での培養となると、いろんな藻類あるいは雑草が繁殖しますので、
それを抑えるために除草剤の使用が不可欠となるでしょう。
ここが一番の私の気になるところでした。

上記と同じ渡邉・彼谷研究室のサイトを見ていくと、、、
-----
改良品種の開発
除草剤耐性の突然変異株の作成に成功しました。
この成果とボトリオコッカスが強い抗生物質耐性をもつことが判明したことにより、異種混入を制御することが可能となり、開放系での大量生産技術開発への道を大きく拓きました。
http://www.algae-biomass-tsukuba.jp/watanabe-kaya-lab/02project/index_02.html
-----

とありました。
なるほど、遺伝子組み換え作物でよく使われる考え方ですね。
(変異体だから定義上遺伝子組み換えではないのでしょう)

論文はたぶん↓だと思います。
Ioki, M, Ohkoshi, M, Nakajima, N and Watanabe, M (2012) Isolation of herbicide-resistant mutants of Botryococcus braunii. Bioresource Technology 109, 300-303
http://dx.doi.org/10.1016/j.biortech.2011.07.101

パラコートとグルホシネートに耐性を持つ変異体を開発したとあります。
なんでこの二剤なんだろう???
と思いましたが、おそらく代表的な非選択性除草剤ということで選んだのでしょう。

ただし、これらの剤は残念ながら藻類にはあまり毒性が強くないので、
これらを使用するとなると、
とんでもない量をまかないと効き目が出ないと思われます。

実際に論文中の実験では
パラコートを13mg/L、グルホシネートを100g/Lも入れています。
こんなのを使って休耕田で野外培養なんてやったら大変なことになりそう
というのが正直な感想です。
ちなみに水田で使用する除草剤の田面水中濃度は最大でも1mg/L程度です。
新規技術に伴うリスクとして考える必要が出てくるでしょう。


各種藻類に対する除草剤の影響を調べているところなので、
こういう用途に使うならもっと適した剤がいくつもあるのにな、
と思ってしまいます。

つづく。。。かも
posted by shimana7 at 22:53| 研究 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2013年05月10日

新規論文


新しい論文が受理されました:
Nagai Takashi, Taya Kiyoshi, Annoh Hirochica, Ishihara Satoru (2013)
Application of a fluorometric microplate algal toxicity assays for riverine periphytic algal species.
Ecotoxicology and Environmental Safety, in press

2011年ころから始めたハイスループットな藻類毒性試験法の開発です。
日本の河川で優占する付着藻類の中から代表種を5種選択し、
その5種類の藻類の毒性試験を同時に行うことができます。

これを使うと、たった一度の試験で、
種の感受性分布解析まで可能な量のデータが取得できてしまいます。

この論文はとりあえず試験法の部分のみを書いたものですが、
現在この方法ですでに大量の毒性データを得ることができています。

既存のデータを使ってできる解析は大体やりつくしてしまった感があり、
大量にデータを取得できるようになるとまた新たな世界が開けます。
(ネタバレになるのであまり書けませんが。。。)

非常に便利な試験法なので、
日本語の試験法マニュアルを作って、
今年度中に公開することを予定しています。
試験法だけではなく、試験データの統計解析方法の部分も充実させたいな、
と思っているところです。

posted by shimana7 at 21:54| 研究 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2013年03月25日

Toxicokinetic model


藻類の個体群動態モデルにトキシコキネティクスを導入したモデル
についての論文がHuman and Ecological Risk Assessment誌に受理されました。

Nagai Takashi (2013)
Algal population growth model integrated with toxicokinetics for ecogical risk assessment under time-varying pesticide exposure.

トキシコキネティクスを導入するというのは、
毒性が水中の濃度に依存するのではなく、
水中から体内に取り込まれ、体内にある農薬のターゲットサイトに運ばれ、
そこでの濃度に依存して毒性をもたらす、
というメカニズムをモデル化することです。
毒性の経時変化を予測する際に有効になります。

私は以前にアオコの研究をしていた際に
鉄の取り込み速度を考慮した藻類の個体群動態モデルを
作っていますので、それの毒性版ともいえます:
Nagai Takashi, Imai Akio, Matsushige Kazuo, Fukushima Takehiko (2007)
Growth characteristics and growth modeling of Microcystis aeruginosa and Planktothrix agardhii under iron limitation.
Limnology, 8(3), 261-270


河川水中の農薬の濃度は農薬使用の時期に依存して大きく変動するため、
そのような状況下での個体群の影響と
その後の回復性を予測できるモデルになっています。

生態リスクのエンドポイントとして、EC50がよく使われますが、
同じEC50に相当する曝露が、
農薬によって異なる個体群レベルの影響をもたらす
(回復できるかどうか、回復にどのくらい時間がかかるか)
ことを、シミュレーションによって示すことができました。


ところで、
今回のモデルはDEBコミュニティな人たちに散々叩かれまして、
自分としては少し不本意な形にモデルを修正せざるをえませんでした。
(結果としてはほとんど変わらないのですが)

私は既存の毒性試験の濃度反応関係をうまく使って
フィッティングで求めるパラメータ数をなるべく減らしたいのですが、
どうしてもモデルの全パラメータを同時にフィッティングで求めないと
この人たちにとっては「modeling practice」がダメなのだそうです。

このやり方は「modeling practice」としては美しいやり方ですが、
実用的にはいまいちなモデルになってしまうと思います。
(パラメータの持つ意味がわからなくなって、
メカニズムベースのモデルと呼べなくなってしまう)

化学物質の生態リスクの分野で個体群モデルが
なぜ実用化されないのかは、
個体群モデルな人たちの閉鎖性にあるのではないか
という気さえしてしまいました。


自分としては、もうこのテーマでの研究は方向性を変えて、
ハイスループットアッセイでモデルパラメータを効率よく決定できるような
そんな研究に今後はしていきたいと思っています。
posted by shimana7 at 23:34| 研究 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2013年03月21日

EPAの試験ガイドライン改訂


先週は農薬学会@筑波大学でした。
自分の発表についてはまた後日まとめてみたいと思っています。

ところで学会の中で知ったのですが、
米国EPAの化学物質の試験ガイドラインが去年改訂されていたようです。
以前はOPPTSのガイドラインといっていたものが、
OCSPP: Office of Chemical Safety and Pollution Prevention
のガイドライン、に変わったようです。

生態影響関係は
Series 850 - Ecological Effects Test Guidelines
http://www.epa.gov/ocspp/pubs/frs/publications/Test_Guidelines/series850.htm
にあります。



藻類の試験ガイドラインは真核藻類(緑藻と珪藻)のものと
シアノバクテリアのものに分かれました。

850.4500 - Algal Toxicity (June 2012)
Document ID: EPA-HQ-OPPT-2009-0154-0003

850.4550 - Cyanobacteria (Anabaena flos-aquae) Toxicity (June 2012)
Document ID: EPA-HQ-OPPT-2009-0154-0004

試験条件などの違いによるものだと思いますが、
OECDテストガイドライン201では、
一つのガイドラインでこれらをカバーできているので
わざわざ分ける意味があるのかなあ?とは思います。
(実際文章は両者でほとんど同じです。)


EC50のほかに、NOECも計算するようになっていますが、
NOECの代替としてはEC5を計算するようになっています。
結構厳しい値になりそうですね。
(物質によってはほかのECxを使うこともあるみたいですが・・・)

ガイドライン中の表現ではEC50, EC5ではなく、IC50, IC05となっており、
ミジンコなどの影響のエンドポイント(ECx)に対して、
藻類の増殖速度の場合はICxと表現するように変えています。
このような用語の転換の意味として、
おそらくこれらのエンドポイントは明確に違うことを強調したいのだと思います。



ウキクサの試験ガイドラインでは、
従来の試験期間14日が7日に短縮され、
OECDガイドラインと同じになりました。
14日と7日では結果に大きな違いはないようです。

850.4400 - Aquatic Plant Toxicity Test Using Lemna spp. (June 2012)
Docket ID: EPA-HQ-OPPT-2009-0154-0027

posted by shimana7 at 23:30| 研究 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2013年02月18日

Rで濃度反応関係 〜drcパッケージ編〜


今回も統計の話です。

以前書いた記事
Rで濃度反応関係
http://shimana7.seesaa.net/article/172116752.html

Rで濃度反応関係 〜MCMC版〜
http://shimana7.seesaa.net/article/267132804.html
に、EC50等の計算方法を求めて検索して来られる方が多いので、
またもや懲りずに書いて見ます。

今回使用するのはdrcパッケージです。
これもとても簡単に使えます。
ただし、Rにデフォルトでは入っていませんので、
追加でインストールする必要があります。

drcパッケージについて:
drc: Analysis of dose-response curves
http://cran.r-project.org/web/packages/drc/index.html

drcの作者による論文:
Christian Ritz (2010)
TOWARD A UNIFIED APPROACH TO DOSE-RESPONSE MODELING IN ECOTOXICOLOGY
Environmental Toxicology and Chemistry, 29, 220-229



以下は計算過程です:

Rでdrcパッケージを読み込みます。
-----
> library(drc)
要求されたパッケージ alr3 をロード中です
要求されたパッケージ car をロード中です
要求されたパッケージ MASS をロード中です
要求されたパッケージ nnet をロード中です

次のパッケージを付け加えます: '‘alr3’'

The following object(s) are masked from ‘package:MASS’:

forbes

要求されたパッケージ gtools をロード中です

次のパッケージを付け加えます: '‘gtools’'

The following object(s) are masked from ‘package:car’:

logit

要求されたパッケージ lattice をロード中です
要求されたパッケージ magic をロード中です
要求されたパッケージ abind をロード中です
要求されたパッケージ nlme をロード中です
要求されたパッケージ plotrix をロード中です
要求されたパッケージ stats4 をロード中です

'drc' has been loaded.

Please cite R and 'drc' if used for a publication,
for references type 'citation()' and 'citation('drc')'.


次のパッケージを付け加えます: '‘drc’'

The following object(s) are masked from ‘package:stats’:

getInitial

警告メッセージ:
1: パッケージ '‘drc’' はバージョン 2.15.2 の R の下で造られました
2: パッケージ '‘magic’' はバージョン 2.15.2 の R の下で造られました
-----
Rのバージョンが古いので警告を受けましたがそのまま続けます。

使用する濃度反応関係のデータはまた同じです。
-----
> ###データ整理###
> res <- c(0.963, 0.925, 0.736, 0.300, 0.174, 0.062)
> conc <- c(30, 60, 120, 240, 480, 960)
>
> Obs <- data.frame(x=conc, y=res)
> Obs
x y
1 30 0.963
2 60 0.925
3 120 0.736
4 240 0.300
5 480 0.174
6 960 0.062
-----
concは被験物質濃度、resはコントロール区の増殖速度で割った比増殖速度です。

これを2パラメータのlog-logistic式にフィッティングさせます。
logEC50をパラメータとするlog-logistic式は:
res = 1/(1 + exp(-a*logEC50+a*log(conc)))・・・(1)
で表現されます。

drcパッケージでは、drmという関数を使います。
"LL.2()"というのが2パラメータのlog-lostic式を表しています。
3パラメータなら"LL.3()"、ワイブル式なら"W1.2()", "W2.2()"などとなります。

drc作者による論文(ETC 2010)を読むと、
毒性試験の解析はlog-logisticとワイブル2種類でやっておけば、
まず大丈夫なのかな、という感じを持ちます。

-----
> # 2パラメータのlog-logistic(LL)でfitting
> P <- drm(res~conc, data=Obs, fct=LL.2())
> summary(P)

Model fitted: Log-logistic (ED50 as parameter) with lower limit at 0 and upper limit at 1 (2 parms)

Parameter estimates:

Estimate Std. Error t-value p-value
b:(Intercept) 2.08641 0.28847 7.23260 0.0019
e:(Intercept) 182.41863 12.37472 14.74123 0.0001

Residual standard error:

0.04808593 (4 degrees of freedom)

-----
ここで、b = 2.08641, e = 182.41863
とパラメータが推定されました。
bが(1)式のa、eが(1)式のEC50に相当します。

初期値の設定なども何も必要なく、
データと関数形さえ指定すれば計算できてしまいます。
初期値の設定などは中でどうやってるんですかね???
(ちなみに初期値に何を入れたらよいか?
を初学者に説明するのは結構メンドイんで助かりますが。。。)

次に、このパラメータを用いてEC10, EC50, EC90を計算してみます。
drcパッケージにはEDという関数があり、簡単に計算できます。
-----
> #EC10, 50, 90の計算
> ED(P, c(10, 50, 90))

Estimated effective doses

Estimate Std. Error
1:10 63.637 9.7827
1:50 182.419 12.3747
1:90 522.914 87.4597
-----
EC10は63、EC50は182、EC90は523と計算されました。
これもとっても簡単で、
中で一体どんな計算をしているのか大変興味があります。

さらに、EDという関数は信頼区間の計算もしてくれます。
(もともと標準誤差(Std. Error, SE)の値が出ているので、
ECx ± t値*SEで簡単に計算できますが。。。)

先ほどのEDに、"interval = "delta"を付け加えます。
-----
> #EC10, 50, 90とその信頼区間の計算
> ED(P, c(10, 50, 90), interval = "delta")

Estimated effective doses
(Delta method-based confidence interval(s))

Estimate Std. Error Lower Upper
1:10 63.6368 9.7827 36.4757 90.798
1:50 182.4186 12.3747 148.0609 216.776
1:90 522.9137 87.4597 280.0865 765.741
-----
LowerとUpperという列が追加されました。
これが95%信頼区間の下限と上限です。
これより、EC50の信頼区間は148-217と計算されました。

モデルの当てはめ具合はグラフを書いて確かめます。
-----
> plot(P, broken=TRUE)
drc.png
-----

ということで、とても簡単に濃度反応関係の解析ができるようです。

posted by shimana7 at 23:27| 研究 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする