日本農薬学会第38回大会@筑波大学では、
自分が関係する発表として以下の4題がありました。
1. ○永井孝志、安納弘親
藻類生長阻害試験の統計解析方法:RExcelで行う非線形回帰分析
2. ○堀尾剛、稲生圭哉、岩ア亘典、横山淳史、永井孝志、依田育子
茨城県桜川流域における水稲用農薬の挙動 -本流および支流における水中濃度の比較-
3. ○矢吹芳教、相子伸之、永井孝志、稲生圭哉
パッシブサンプラーを用いた河川農薬モニタリングへの適用の検討
4. ○谷地俊二、永井孝志、岩崎亘典、稲生圭哉、横山淳史
農薬普及率の推計値を用いた地域性と経年変化の評価
1. の発表では、
・現在広く行われている毒性試験の統計解析はなぜダメか?
・ではどんな解析をどうやってやれば良いのか?
を話しました。
・NOECの欠点やら、EC10を計算する場合のProbit変換の問題点などの解説
・RExcelを用いた濃度反応関係の解析方法
を説明して、
実際の毒性試験データを用いて計算し、従来法の結果と比較を行いました。
NOECは0.3-17%の影響レベル(EC0.3〜EC17)に相当する結果となりました。
2. の発表では
河川水中農薬モニタリングの結果を報告しました。
質疑の時間に、モニタリングのデータを出すときは、
濃度だけじゃなくてそれが生物にどのくらいの影響があるのかを
同時に出すことが重要、とのコメントがありました。
ぱっと思いつくのが基準値との比較があって、
「基準値以下だから大丈夫です」
という言い方はとても簡単です。
ただしこれは諸刃の剣。
簡単で説明しやすいのですが、リスクを二分法に持っていく弊害があり、
まるで基準値以上なら危険かのような印象を与えるので
後々自分の首を絞めることになってしまいます。
モニタリングデータを有効活用するような
リスクの定量評価ツールを早く出さなければと思います。
3. の発表では
2.と同じく河川水中農薬のモニタリングなのですが、
水中に沈めておくタイプのパッシブサンプラーを用いた点が新しいです。
金属ではDGTの使用が徐々に広がりつつありますが、
農薬での水中パッシブサンプリングは
日本での活用事例はたぶん初めての報告かもしれません。
(SETACではそれだけでセッションができるほど盛り上がってます)
4. の発表では、
農薬が、いつ、何が、どこで、何に、どれくらい使われているのかの
データベースをまとめて解析した例を発表しました。
「いつ」は現在からとりあえず20年さかのぼれます。
「何が」は各種殺虫剤、
「どこで」は各都道府県レベル、
「何に」は主に水田での散布や育苗箱施用をメインターゲットとし、
「どのくらい」は水田の何%でそれが使われているかの普及率で表現しました。
ある程度簡便に、そして網羅的に解析できる手法になっています。
posted by shimana7 at 22:34|
日記
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