新たに論文が受理されました。
Takashi Nagai, Kiyoshi Taya and Ikuko Yoda (2015)
Comparative toxicity of twenty herbicides to five periphytic algae and the relationship with mode of action.
Environmental Toxicology & Chemistry
http://dx.doi.org/10.1002/etc.3150
これは、以前に農業環境技術研究所で公表した
河川付着藻類を用いた農薬の毒性試験マニュアル
http://www.niaes.affrc.go.jp/techdoc/algae/?0317#mokuji
に基づいて、除草剤20種の毒性試験を行った結果をまとめたものです。
5種類の付着藻類を用いた毒性試験を行い、
従来標準種として使用されてきた緑藻Pseudokirchneriella subcapitata
の毒性と比較してみると興味深いことがわかりました。
藻類の中でどの種に毒性が高いかは明確に作用機作特異的であり、
標準緑藻Pseudokirchneriella subcapitataに対して毒性が高い作用機作
違う種類の緑藻Desmodesmus subspicatusに対して毒性が高い作用機作、
珪藻に対して毒性が高い作用機作、
シアノバクテリアに対して毒性が高い作用機作、
など、バラエティに富んでいます。
そして、3つの作用機作の除草剤では、
藻類のみでも種間の感受性差はなんと10000倍にもなっていました。
どの種のデータでリスク評価をするかで結果が大きく違ってきてしまいます。
つまり、除草剤で標準緑藻のみのデータを用いたリスク評価を行うと、
リスクを見誤ってしまいます。
作用機作によって追加のデータが必要になるか、
種の感受性分布を用いることが適切と考えられます。
全部で100の毒性試験の増殖速度の全データを
Supporting Informationとして掲載してあります。
なにかに使ってみたい人はぜひどうぞ。