2013年09月29日

リスクの受容レベルについての議論


新しい記事が公表されました。

村上道夫、永井孝志 (2013)
微量化学物質の発がんリスクとその受容レベル
日本水環境学会誌, 36(9), 322-326
http://shimana7.web.fc2.com/research/PDF/g3-16.pdf
(PDFを公開しても良いということなので、公開します)

いつもの生態リスクではなく、発がんリスクをテーマにしたものです。
3.11以降をめぐる放射線のリスクの議論においては、
リスクの受容レベルというものを議論せざるを得ない状況になっています。
そもそも(表面上の)ゼロリスクを目指してきたこれまでとの矛盾とも
向き合わなければいけない時期に来ています。

この記事は、
発がん性のようなゼロリスクを認めることができない場合の
考え方についてまとめたものです。


関連して、最近行われたイベントに面白いものがありました:
公開シンポジウム「社会が受け入れられるリスクとは何か」
http://www.scj.go.jp/ja/event/130905.html

これはまさしくリスクの受容レベルについて正面から扱うという
チャレンジングなイベントです。

この中で、中西準子さんが
「しきい値なしモデルとリスク受容の課題」
というテーマで講演されています。
(スライドも公開されています)

非常に関連する内容なので、
ぜひセットでご覧頂けるとうれしいです。



以上の記事とイベントは、
発がん性について扱ったものですが、
じつは非発がん性ものについても同じ扱いが可能です。
というよりも、同じ扱いをしなければいけない時代に来ている、
と言った方が良いかもしれません。

これは、
NOAEL(No Observed Adverse Effect Level)

NOEC(No Observed Effect Conentration)
を無影響量、無影響濃度と(おそらく意図的に)誤訳してきた
ことがそろそろ通用しなくなる、ことを意味しています。
本当はこれらは無影響を意味しませんし、
特定の影響レベルを意味するものですらありません。

NOAELやNOEC以下だから無影響(ゼロリスク)なのだと
これまで説明し続けてきたことで、
リスクの受容レベルについての
(はっきり言って面倒くさい)議論を避けてきた
のが現状と言えるでしょう。

今後は発がんも、非発がんも同様にリスクの受容レベルについての
議論を本格的に行っていく必要が出てくると思います。


posted by shimana7 at 22:40| リスク | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする