2011年05月13日

SETAC EU2011 in ミラノ

明日から1週間イタリアのミラノに行って
SETAC EU大会に参加します。
http://milano.setac.eu/?contentid=291

3年ぶりの国際学会(SETAC World以来)なので
ワクワクしています。

SETACの大会はショートコースというのがあって、
毒性や曝露、リスク評価の実践的テクニックなどを
学ぶことができます。

今回は
Linking community data and exposure for mesocosms and field investigations
というコースを受講します。

Princial Response Curve (PRC)とかの
メソコスム試験で使う群集構造解析手法が
メイントピックになると勝手に思っていたのですが、
SPEAR (SPEacies At Risk)という
河川底生生物指標がメイントピックになるようです。

SPEARのWEBサイト
http://www.systemecology.eu/SPEAR/index.php

今回このSPEARという指標は初めて知ったのですが、
いくつかの論文を読んで予習してみると
考え方としては面白そうです。

論文
Liess M, von der Ohe PC (2005) Analyzing effects of pesticides on invertebrate communities in streams. Environmental Toxicology and Chemistry. 24, (4): 954-965.

Liess M, Schafer R, Schriever C, (2008) The footprint of pesticide stress in communities - species traits reveal community effects of toxicants. Science of the Total Environment, 406, 484-490.

Beketov M, Foit K, Schafer R, Schriever C, Sacchi A, Capri E, Biggs J, Wells C, Liess M, (2009) SPEAR indicates pesticide effects in streams - comparative use of species- and family-level biomonitoring data. Environmental Pollution, 157, 1841-1848.

Schafer, R.B., Pettigrove, V., Rose, G., Allinson, G., Wightwick, A., Von Der Ohe, P.C., Shimeta, J., Kuhne, R. & Kefford, B.J. (2011) Effects of pesticides monitored with three sampling methods in 24 sites on macroinvertebrates and microorganisms. Environmental Science & Technology, 45, 1665-1672.


最近流行の
Trait based ecological risk assessment
の「はしり」なのかもしれません。

河川底生生物を
・農薬への感受性
・生活史形質 (trait)
の2つの観点から、
農薬によるリスクを受けやすい種(SPEAR)
と受けにくい種(notSPEAR)に分けるのがキモになっています。

生活史形質はさらに
個体群の回復性のポテンシャルの観点から
・世代時間
・コロニーの移動性
・農薬の使用時期に水中にいるかどうか
が考慮されます。

そして、河川生物のモニタリング調査から、
全体の個体数に対して、SPEARの個体数の割合を
%SPEAR_pesticideという指標で表現します。
これが低いほど農薬の影響を受けている場所
ということになります。

河川水中の農薬濃度をミジンコの毒性(EC50)で割った係数Toxic Unit(TU)と
%SPEARは良い相関が得られます。
(この辺がホントに??と思うところ)


以下の論文には生活史形質のデータベースがまとめられており、
これはかなり素晴らしい仕事と思います。
Schafer, R.B., Kefford, B., Metzeling, L., Liess, M., Burgert, S., Marchant, R., Pettigrove, V., Goonan, P. & Nugegoda, D. (2011) A trait database of stream invertebrates for the ecological risk assessment of single and combined effects of salinity and pesticides in South-East Australia. Science of the Total Environment, 409, 2055-2063.


なんとなく結果がきれいすぎるのと、
SPEARの区別が0か1かで、
その線引きの根拠がイマイチ曖昧なので
半信半疑なところもあるのですが、
どの程度使えそうか勉強してきます。



発表は2題:
"Probabilistic ecological risk assessment of eleven paddy herbicides"

"An algal toxicokinetic model for population level ecological risk assessment"
というタイトルで行います・

一つはオーラルで出したのですが、
セッションの選択に失敗したのかポスターに回されてしまいました。
この時点ですこしテンション下がりましたが、
ポスターで2題発表してきます。


posted by shimana7 at 22:34| 研究 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする