2010年08月23日

ミツバチへのリスク

ミツバチと農薬についての論文:
Mullin CA, Frazier M, Frazier JL, Ashcraft S, Simonds R, et al. (2010) High Levels
of Miticides and Agrochemicals in North American Apiaries: Implications for Honey
Bee Health. PLoS ONE 5(3): e9754.

についてのブログ。
いろいろと疑問があります。

アジア保全生態学ブログ
ミツバチの大量失踪の原因
http://d.hatena.ne.jp/gcoe-kyushu-u/20100821
農薬だけでもミツバチの大量失踪が説明できる、
という記載があります。


単純にリスク評価をしようと思うなら、せめて
ミツバチ中濃度(の95%tile値)/LD50の値
(ハザード比)
でも計算してくれればよいのに。
フルバリネートを除いて最大でも0.01程度です。
のきなみ低くなりすぎて(リスクが低すぎて)
研究の重要性を主張できないからですかね?
花粉中濃度とLD50の比較は何の意味もありませんね。
ちなみにフルバリネートは養蜂のダニ防除に使う殺虫剤
ですから、ある程度リスクがあるのはあたりまえです。

話題のネオニコチノイド系殺虫剤では
イミダクロプリド
チアクロプリド
アセタミプリド
の三種類が調査されていますが、
花粉からは検出されるものの、
ミツバチからはどれも検出されませんでした。

もうひと加えておくとすると、
LD50は接触毒性試験でもって評価されるもので
これは農薬をミツバチに塗布して致死率を見る試験です。
(濃度は塗布した農薬量/ミツバチの体重になります)
農薬が含まれる花に曝露させて体内中濃度と
致死率を見る試験ではありません。
毒性の解釈にはこの辺も重要なところです。

つまり、上記のハザード比による評価は
農薬の直接散布による接触の影響を見るのにはよいが
花の蜜を媒介する影響を評価するには
注意が必要です。


さらにこの疑問たるゆえんは林岳彦さんのブログに大変詳しく書かれています。

Take a Risk: 林岳彦の研究メモ
■[論文][リスク]ミツバチの大量失踪の原因の記事への補足
http://d.hatena.ne.jp/takehiko-i-hayashi/20100823/1282519154

ここで紹介されているWikipediaの記述は
初めて知りましたが、
すばらしい解説ですね。
上記のハザード比が高くても
コロニーの消失と直接関係するとは限らない、
という、個体レベルと個体群レベルの
リスク評価の違いを示しているようです。



Y日記
■[保全]ミツバチの大量失踪の原因
http://d.hatena.ne.jp/yahara/20100821/1282382462
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デイビッド・ブラッドショーは養蜂家として何度もハチにさされてきたが、先月巣箱をあけ
たとき、経験したことのない衝撃を受けた。10億匹のハチの半数が消えうせていたのだ。
『こんなことは初めてだ』−開花をはじめたアーモンド園を前に、ブラッドショー氏はこう
語った。『この箱も、この箱も、この箱も、みんな空だ。』

「生物多様性に関して執筆中の本」では、こういう臨場感のあるドキュメントをできるだけ
書き込みたいと考えている。
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生物多様性という言葉が
どんどん怪しい言葉になりませんように。。。

そもそも家畜は生物多様性の中に入るのでしょうかね?
口蹄疫も生物多様性を脅かすハザード?

今までこのミツバチと農薬の問題は
まともな人ほど無視している状況だったのですが、
大御所生態学者の参入とあっては
影響が大きそうです。


posted by shimana7 at 20:48| リスク | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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