平成29年6月19日 環境省 報道発表資料
「水産動植物の被害防止に係る農薬登録保留基準値(案)」に対する意見の募集(パブリックコメント)について
http://www.env.go.jp/press/104178.htmlにあるように、農薬の基準値案について7月18日までパブコメが実施されています。
上記WEBサイトの
(参考2)水産動植物の被害防止に係る農薬登録保留基準として環境大臣の定める基準の設定に関する資料
に、各基準値案の根拠が掲載されています。
注目すべきはスルホキサフロルという新しい殺虫剤の基準値です。
ネオニコチノイド系農薬とは構造が異なりますが、
作用特性が近いことが知られており、
ポストネオニコに位置づけられるものです。
この殺虫剤はすでに基準値が設定されており、
環境省 水産動植物の被害防止に係る農薬登録保留基準について
http://www.env.go.jp/water/sui-kaitei/kijun.html#list03-saにリストされている通り、
平成26年4月7日に39,000μg/Lと設定されています。
今回はこの剤について新しいルールによって基準値が再設定されました。
昨年度から始まったこの新ルールについては以前解説したものがあります:
http://shimana7.seesaa.net/article/439257715.htmlさて、スルホキサフロルの毒性データ(参考2 22ページ目)を見てみると
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魚類[@](コイ急性毒性) 96hLC50 > 402,000 μg/L
魚類[A](ニジマス急性毒性) 96hLC50 > 387,000 μg/L
魚類[B](ブルーギル急性毒性) 96hLC50 > 360,000 μg/L
甲殻類等[@](オオミジンコ急性遊泳阻害) 48hEC50 > 399,000 μg/L
甲殻類等[A](ユスリカ幼虫急性遊泳阻害) 48hEC50 = 309 μg/L
藻類[@](ムレミカヅキモ生長阻害) 72hErC50 > 101,000 μg/L
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となっており、ネオニコと同様、ユスリカ以外にはほとんど毒性を示しません。
そして、追加で提出されたユスリカのデータに基づき
最も低い毒性値である309を不確実係数10で割ると30.9となり、
数字を丸めて基準値案は30μg/Lとなりました。
ユスリカのデータを加えたことで、
以前の基準値と比べて1000倍以上厳しい値になりました。
このようにネオニコチノイド系農薬や類似の作用の農薬について、
新しいルールに基づく基準値の再設定が今後続くことになります。
posted by shimana7 at 22:45|
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