この時期は年度末ということもあり、行政の検討会が非常に多いです。
先週は3回ありました。そして今日もこれから検討会です。
今日の検討会は環境省が設置する
「水産動植物登録保留基準設定検討会(以下、水産検討会)」
というもので、
水産動植物の被害防止に係る農薬登録保留基準
http://www.env.go.jp/water/sui-kaitei/kijun.html
という農薬の生態リスクに関する基準値を決めるための検討会です。
私は平成27年度から委員になっています。
この基準値を決めるプロセスはおおむね以下の順序です。
行政で基準値案の作成
↓
水産動植物登録保留基準設定検討会(非公開)
http://www.env.go.jp/water/sui-kaitei/kijun_kentou/index.html
↓
中央環境審議会 土壌農薬部会 農薬小委員会(公開)
http://www.env.go.jp/council/10dojo/yoshi10-04.html
↓
環境省からパブリックコメント
↓
基準値決定(環境省告示)
水産検討会は非公開で議事要旨のみが公開されます。
非公開なので、かなりすったもんだの率直な議論が交わされます。
提出される毒性データ等が非常にクリアな場合は
スムーズに承認されますが、
古いデータで現在のガイドラインと試験法が異なる、
詳細が不明な点がある、
等データに問題がある場合には時間がかかります。
水に溶けにくく設定濃度と実測濃度に開きがある場合や
分解が早く、代謝物の毒性を考慮するかどうかなど、
データの解釈が難しいものもあります。
追加の解析を求めるなどで、一旦却下される場合もあります。
ここできちんと理論を固めておかないと、
次のプロセスである農薬小委員会でまた引っかかってしまうため、
水産検討会でなるべく揉んでおくことが重要です。
こういう委員の仕事は研究業績にはなりませんし、
(むしろ研究の時間を割かれる)
なかなか表に出にくい裏方の仕事なのですが、
行政の研究者としては行政の役に立ってなんぼだと思います。
今後もたまにはこういう仕事も紹介してみたいと思います。