2015年04月28日

EUにおける、種の感受性分布を用いた農薬の生態リスク評価


EUのリスク評価機関であるEFSAは、
農薬のリスク評価書を順次公表していますが、
その中で、2013年に殺虫剤の
クロラントラニリプロールの評価書が公開されています。
EFSA Journal 2013;11(6):3143
Conclusion on the peer review of the pesticide risk assessment of the
active substance [chlorantraniliprole].
http://www.efsa.europa.eu/en/efsajournal/pub/3143.htm

生態リスク評価では種の感受性分布(SSD)を使ったことが明示的に
書かれている珍しい例です。

無脊椎動物に対する毒性データが9種で得られているので、
SSD解析を行った結果、分布の5パーセンタイル値(HC5)が2.91μg/L
が得られ、それを不確実性係数5で割って0.58μg/Lが、
regulatory acceptable concentration (RAC) と計算されています。

EFSAはEuropean Food Safety Authority、
つまり食品安全に係わる組織ですが、
生態リスクも評価するし、ミツバチの評価もするのでエライと思います。
(日本の食安委も見習うべきですね)



ちなみにこのクロラントラニリプロールという殺虫剤は、
この5年くらいで使われるようになり、
ネオニコチノイド系農薬に代わって使われ出してきています。
新農薬と言うならせめてこういうのを言うべきですね。
もう20年以上も使われているネオニコチノイド系農薬を新農薬
とかいうのはいいかげんにやめて欲しいものです。



さらにちなみに基準値豆知識ですが、
クロラントラニリプロールの
日本における農薬登録保留基準は2.9μg/Lです。
http://www.env.go.jp/water/sui-kaitei/kijun/rv/k04_chlorantraniliprole.pdf

これは、
オオミジンコ 48hEC50 = 11.6 μg/L
ヌカエビ 96hLC50 = 680 μg/L
ユスリカ 48hLC50 = 85.9 μg/L
という節足動物の毒性試験結果から、
最小値である11.6を不確実性係数4で割って導出されたものです。
(節足動物で3生物種のデータが存在する場合、不確実係数は通常の10ではなく4を適用)


posted by shimana7 at 22:13| 研究 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする